〔香りを思い出す効果〕香りがもたらす心の魔法

香りを思い出す効果

金木犀(きんもくせい)の季節になりましたね。

あの優しい香りが風に乗って漂うと、私はまるでタイムマシンに乗ったかのように、中学生の頃の思い出が蘇ります。

初めて自分で買った香水が、この金木犀だったんです。

雑貨屋さんで数百円で買えたミニボトルでした。

半世紀(笑)も前のことが、今この瞬間にふわっとよみがえるのは、本当に不思議な感覚です。

香りと記憶には、驚くほど強い結びつきがあるんですよね。

皆さんも、ふとした瞬間に「この香り、懐かしい…」と思ったことはありませんか?

 

香りは、特別な瞬間を呼び起こす小さな魔法のような存在。

今日は、そんな香りがもたらす心理的な効果について、お伝えします。

香りを思い出す「プルースト効果」

「プルースト効果」という言葉をご存じでしょうか?

これは、特定の香りを嗅いだ瞬間に、過去の鮮明な記憶が突然蘇る現象のことです。

名前はフランスの作家、マルセル・プルーストから来ていますが、この効果には脳の働きが大きく関わっているそう。

 

香りを嗅ぐと、その情報は「嗅覚系」を通じて、脳の「扁桃体」と「海馬」に直接届きます。

扁桃体は感情を、海馬は記憶を司る部分です。

このため、香りは感情と記憶を一瞬で呼び覚ます強い力を持っているんです。

 

ファストフードの香りの思い出

 

子供の頃、家族で出かけたファストフードの香りが、大人になった今も、お出かけの楽しさや家族の安心感を蘇らせてくれる人もいらっしゃるでしょう。

 

香りは視覚や聴覚よりも、感情をダイレクトに引き出す「感情のスイッチ」としての力が強いみたい。

だから、香りは思い出と強く結びついて、私たちに特別な瞬間を何度でも感じさせてくれるのです。

匂いで思い出すことの効果とは?

香りの効果は、ただ記憶を呼び起こすだけではありません。

 

それは感情にも深く影響します。

例えば、恋をしていた時に使っていた香水の香りを嗅いだとき、胸がちょっぴり切なくなることはありませんか?

 

あるいは、化粧品の香りが、幼い頃に嗅いだお母さんの化粧品の香りと重なり、どこか懐かしさや優しさの記憶を蘇ることもありまよね。

 

香りは、心に安らぎを与えたり、逆に心を揺さぶったりします。

そんな香りを、日常生活の中で意識的に取り入れてみることは、きっとプラスになりそうです。

香りで思い出す効果を「未来」にも

思い出を香りで形作る方法

香りは、「過去」を思い出すだけではなく、「未来」に特別な思い出を形作ることもできます。

 

例えば、大切な旅行に行くときに、香水をつけてみる、なんていうのはどうでしょうか。

旅行の最中、その香りが旅のすべての瞬間に寄り添ってくれることになるわけです。

 

すると、その香水を後々使うたびに、旅の風景や感動が鮮明に蘇り、まるで旅の記憶をカプセルに閉じ込めたような気持ちになるのです。

また、何か新しいチャレンジをするときに、新しい香りを取り入れることもおすすめです。

すると、その香りは、自己成長や成功体験と結びついていきます。

 

例えば、転職したとき、あるいは新しい趣味を始めるとき、意識的に香りを使ってみることで、後々も、頑張った自分を思い出し、次の一歩を踏み出す勇気が湧いてくるかもしれません。

 

こんな風に、香りは「未来の思い出」を形作る手助けもしてくれるんです。

 

CHIKAKO
香りと言えば、認知症だった母のことも思い出します。

香りで思い出すいくつかの教訓と効果

認知症になり始めた頃の母の様子

認知症に関する研究によると、嗅覚と記憶の関連性は非常に強いと言われています。

特に「海馬」と呼ばれる脳の部分がダメージを受けることで、記憶力だけでなく嗅覚も低下することがあるのです。

 

私の母が認知症になり始めた頃、「匂いが分からない」と訴えることがよくありました。

 

今思えば、それは認知症の初期のサインだったのでしょう。

 

嗅覚は私たちの生活において、感情や記憶を形作る重要な要素。

そのため、嗅覚の低下は記憶の減退とも深く関係しているのです。

 

このことから、香りが私たちにとってどれほど大切な役割を持っているかを改めて感じます。

 

CHIKAKO
私自身は、香りを一切受け付けなくなったことがありました。

多くの「人」で心が疲れ果てた時

夫が長く地方議員をしていたので(今は引退しています)、それも、はいずり回るような厳しい選挙に何度もチャレンジしたので、私は心底疲れ果てることが何度もありました。

 

そんなある日、香水がまったく受け付けなくなったことがあったのです。

結構長く続きましたね。

 

中学生の時から香水が大好きで(理由はこの後ご説明します)、それ以来、半世紀にわたって(笑)香りを欠かしたこと無かったのです。

心理学的に見ると、これは「感情と香りの関連性」が深いことによるものだと言えるでしょう。

 

ストレスがピークに達すると、体や心が「安心する香り」すら拒絶してしまうことがあるのです。

それは、心がすでにいっぱいいっぱいで、新たな刺激を受け入れる余裕がなくなってしまったからです。

 

CHIKAKO
風水では、人間関係は香りが大切だと言わてるんです。ってことは、どんな「香り≒人間関係」も受け入れることができなかったのでしょうね。

 

逆に言えば、心が健やかなときには好きな香りを楽しむことができるし、香りは私たちに安心感をもたらしてくれるのです。

こうした経験からも、香りは、自分の状態を見つめ直す手助けにしたいと思っています。

クリスタルは私の特別な香り

私が中学生の時に香水が好きになったのには理由があります。

 

私には、一回りほど年上の叔母がいて、彼女はまるで「お姉ちゃん」のような存在なのです。

当時中学生だった私にとって、初めての香水をプレゼントしてくれたのが「お姉ちゃん」でした。それがシャネルの「クリスタル」。

 

この香水は、今でも私にとって特別な存在です。

あまり女性らしさを前面に出しすぎない、でもどこかフレッシュで爽やかな香り。いつもそばにいてくれた「お姉ちゃん」の温かさを思い出す香りです。

 

大人になり、故郷を離れ、お互いに年を重ねて、物理的な距離は離れてしまいましたが、クリスタルの香りをシュッとひと振りすると、その瞬間、「お姉ちゃん」が今もそばにいるような気持ちになるのです。

 

香りは人と人との絆をつなぐ不思議な力を持っています。

その香りがあるだけで、愛する人の温かさや励ましを感じることができるのでしょうね。

結びに

香りがもたらす力について、ポイントをまとめます。

香りは過去の思い出を鮮明に蘇らせる魔法のような存在。
「プルースト効果」によって香りは感情と記憶を引き出します。
香りを未来の思い出作りにも使いましょう。大切な瞬間に特定の香りを取り入れることで、その瞬間をいつでも呼び起こせます。
嗅覚の変化は心や脳の健康状態と関わっています。嗅覚の低下がサインであることもあるため、大切にしたいですね。
香りは人とのつながりを保つ力も持っています。特別な人との思い出の香りは、心の支えになることがあります。

 

香りの魔法、日々を彩る手助けにしたいですね。

 

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