【看取りケア】大切なことをつぶやいてくれた医師【体験談】

何人もの家族を見送ってきました。

愛する人との最期をどのように過ごしたらよいのか、多くの方も迷われることと思います。

看取りについて考える際に、これからご紹介する、とある医師のエピソードがご参考になれば幸いです。

その医師は、看取りケアの本質について深く問いかける一言をつぶやいたのでした。

【看取りケア】大切なことをつぶやいてくれた医師

旅立とうとする人を引き留めるのが医療なのか?

私の家族が最期の時を迎えようとする中で、ある医師がこうつぶやきました。

「口から食べられなくなったら、体は終わる準備をしていると思っています。旅立とうとする人を無理に引き留めることが医療なのか、私には疑問です」

 

病院での延命治療では、胃ろうや点滴が当然の選択肢として存在します。

希望すれば更に様々な処置も可能でしょう。

しかし、医師の言葉が問いかけたのは、「医療はどこまで踏み込むべきか」という大きな問題でした。

この一言は、「最期の時間に本当に必要なものは何か」と考え続けている医師の心情の吐露だったと思います。

 

私は、この医師に家族を診てもらえたことを今でも心から感謝しています。

医師は、家族を単なる「肉体」としてではなく、人生の最期を迎えた「魂としての存在」として尊重し、最期の時間を大切にしたいと考えていることが伝わってきたからです。

これこそが、看取りケアの本質なのではないでしょうか。

魂のための看取り

現代の医療では、延命のために様々な処置が可能ですが、「その人がその人らしく旅立つ」ことを支えることはとても難しい課題でしょう。

前述した医師が「これ以上の医療行為が本当に患者のためか」とつぶやいたとき、その声には勇気が込められていたと思います。

なぜなら医療現場では「命を救う」ことが中心で、「魂の存在」を問うことは容易ではないからです。

 

その医師は、私を説得するのではなく、ひとりごとのように淡々と話しました。

このさりげない配慮も、患者や家族への敬意の表れだったと感じます。

昭和生まれの私たちに共通する価値観

医師と私には、同じ生死観があったのだと思います。

お伝えしたエピソードは私のふるさとでの出来事です。

 

医師も私も昭和生まれで、仏壇を大切にし、先祖を敬う文化の中で育ちました。

仏壇やお墓の存在は、亡くなった人が魂として存在し続けることを前提にしています。

看取りの際にも、ただ生き延びさせるのではなく、その先の旅立ちを意識していました。

肉体の終わりが訪れようとしても、「魂があの世へと旅立つ」という考えが、医師と私の間で共通の前提としてあったのです。

看取りとは?ケアで大切なこととは?

看取りとは?

「看取り」とは、大切な人がその人らしく最期を迎えられるよう支え、見守ることです。

病気やケガ、年齢などで人生の終わりが近づいたときに、患者さんが望むような形で穏やかな時間を過ごせるようにするケアを指します。

多くの場合、看取りは介護施設や病院、ホスピスなどで行われ、家族にとっても特別な時間となるのです。

大切なこととは?

看取りにおいて、特に大切だと言われているポイントを以下に挙げてみます。

尊厳を尊重:患者の意向を第一に、無理な延命を避けて見守る。
痛みや苦痛の緩和:苦痛を和らげ、できる限り安らかな状態で過ごせるように。
家族のサポート:家族の心の負担にも寄り添い、支え合う。
自然な経過の見守り:延命に頼らず、身体の変化を受け入れ穏やかな旅立ちを見守る。
心の温かさ:医療者と家族が温かく寄り添い、人間らしさを大切にする。

【結びに】「看取りケア」に込められた願い

看取りケア、ターミナルケア、緩和ケアといった言葉はそれぞれ異なる意義を持っていますが、家族にとっては、最期の時間を共に過ごすことが「看取り」といえるでしょう。

高齢者施設、病院、ホスピスなど場所や形態が異なっても、その人らしい最期を支える時間であることに変わりはありません。

家族として最期を見守る立場にあると、看取りは単なる介護や医療行為以上のものなのです。

人生の最終段階を穏やかに過ごし、無理なく「その人らしく旅立つ」ことこそ、旅立つ本人と家族にとっての、本当の「看取りケア」なのではないでしょうか。

 

CHIKAKO
人材育成コンサルとして医療や介護に従事する多くの方にも関わってきました。生きるとは? 死ぬとは? この疑問は、医療や介護関係の皆さんにとって、常に直面する大きな課題です。
YURI
私たちも日頃からもう少し「生死」について考えていきたいですね。

 

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