熊に遭遇したら?至近距離での体験談【クマに実際どう対処したか】

熊

私がクマに遭遇したときの体験談です。

感覚的には、5メートルにも満たない至近距離だったと思います。

内容

  1. 熊との遭遇体験談
  2. 教訓

クマとの遭遇

この体験は、思い出せば思い出すほど恐ろしいクマとの遭遇です。

山菜採りに誘われた日、山に詳しい村の方々と共に山道を進んでいました。

辺りは木々や草が広がり、普段は見ることのない自然に心を奪われていたのですが、その日は想像を超える体験が待っていました。

「この先は急な傾斜だから、ここで待っていて」と、他の人たちは先へと進み、私は一人その場に残ることになったのです。

普段はあまり山に慣れていない私にはちょうど良い休憩のように感じました。

ただそこは、足元から背丈を超える草が生い茂り、視界は極端に悪くなっていました。

すぐそばに細い道路があるとはいえ、草に覆われたこの場所に一人になると、さすがに心細くなりました。

 

周囲が静まり返り、山に入った時のワクワク感もおさまった頃、不意に低く、重々しい「唸り声」が聞こえてきたのです。

それは、人が出す音とはまったく違う、自然の中でしか出会えない圧倒的な存在感を放つ音でした。

私は息を呑み、音の方向に意識を集中させました。

草木が生い茂っているため、目を凝らしても姿は見えませんが、確かに近くに何かがいる。

体感ではわずか2~3メートル先、5メートルに満たない至近距離だと感じました。

 

すぐそこに、クマがいる!

 

そう気が付いた途端、恐怖でいっぱいになりましたが、と同時に、全身が緊急事態を察知し、普段では考えられない猛スピードで思考が展開しました。

まずは、叫びそうになる衝動を抑え込むことに成功しました。

もしこちらの不意な声で驚かせてしまえば、攻撃されるかもしれない…。

その恐怖が、私の理性を全開にしたのでしょう。

 

村人たちから「クマの一撃は破壊的で、顔を持っていかれることもある」と聞いていたことが、私の声を封じ込めたのです。

 

1分が何十倍にも感じられるほどの集中したのだと思います。

私はあっという間に作戦を練り上げ、と同時に遂行していました。

 

「ここにいるよ、敵じゃないよ」というメッセージを発すべし!

私はそう自分自身に命じていたようです。

少しでも私の存在に気付かせつつ、決して驚かせないように、かすかな声で語りかけ続けました。

大きな声ではなく、小さく、優しく、ささやくように。

私の気配を察知してもらい、クマのほうから離れていってくれることをただ祈るばかりでした。

 

やがて、唸り声はだんだんと小さくなり、辺りは再び静寂に包まれました。

緊張と恐怖で動けなくなっていた私の体も、少しずつほぐれていくのを感じました。

しばらくして、奥へと進んでいた山菜採りの仲間たちが戻ってきたのです。

「クマがいた…」

と震える声で伝えると、村の方々は笑顔で

「ああ、この辺はよく出るんだ」

と平然と答えていました。

 

彼らにとってクマの存在は日常の一部であり、特別なものではないのだと、そのとき初めて知りました。

 

CHIKAKO
このあと、体験で得た教訓をご紹介します。クマ対策のご参考になれば幸いです。

クマとの遭遇【教訓】

私がこの体験から学んだことは、山に入ったら最後、決して一人にならず、音を立て続けることが大切だということです。

以下に、私が身をもって学んだクマ対策をまとめました。

音を常に出すこと

クマは臆病な生き物なので、人間の気配を察知すると、むやみに近づいてくることは少ないとされています。

腰に鈴をつける、ラジオを流す、独り言でも歌でも、何かしら音があるだけでクマに自分の存在を知らせることができます。

いきなり出会ってしまうと、驚かせてしまい危険です。

一人で山に入らない

山菜採りや山歩きでも、必ず複数人で行動することが大切です。

山の中で一人になると視界も限られ、いざという時に助けを呼ぶことも難しくなります。

誰かがそばにいるだけで心の支えにもなり、トラブル発生時のリスクを分散できます。

「この辺なら大丈夫」と思わない

今回のように、細い道路が近くにある場所でもクマに遭遇することがあるため、常にクマが出る可能性を念頭に置くことが大切です。

 

「市街地ではクマなんて出ないだろう」と油断せず、万が一のための備えをしておきましょう。

クマもまた生きるために必死で行動しています。

彼らの生活領域に人間が踏み入る以上、いつでも遭遇するリスクはあります。

山に入ったら自分の身は自分で守る

たとえクマに詳しい方が同行していても、いざという時の判断は自分でしなければなりません。

自分の身を守るために必要な情報や対策を前もって知っておくことが重要です。

特に、春先は、冬眠明けでクマの活動が活発化し、遭遇リスクが高いです。

市街地でも果樹は早めに収穫を

 

秋(特に9月から11月)は、冬眠前でクマが大量に食べ物を求めるため、遭遇のリスクが高まります。

この時期は「冬眠前の食べだめ時期」として特に警戒が必要です。

柿などの果樹は、クマがそれを目当てに人里に現れることがあるため、早めに収穫することをおすすめします。

果実が落ちたままにならないようにすることも大切です。

【結びに】クマと共生するために

クマは普段、空腹が満たされていれば人間に近づくことはほとんどありません。

むやみに怖がるのではなく、彼らが安心して暮らせる環境を保つことが、私たち人間にも必要です。

 

市街地にクマが現れるのも、どんぐりなどの食料が山で少なくなっていることが一因でしょう。

山や自然が豊かで、クマたちも安心して暮らせる日本に戻れることを願っています。