ひとり親家庭の生活は「貧困」と隣り合わせです。
これは、私がシングルマザーだった頃の食事のエピソードです。
闇鍋ならぬ、闇カレー。
これは、ひとり親家庭の方なら、「あるある」メニューかもしれません。
記事内容
- シングルマザーの貧困な食事
- 笑えなかった食のエピソード
【シングルマザーの貧困】楽しい食事に闇カレー
息子の発言、授業でウケる!
当時、小学生だった息子の教室で、ある日、カレーが話題になりました。
先生が
「カレーには何が入っていますか?」
と質問すると、子どもたちは
「はーい、ジャガイモ!」
「肉でーす」
「玉ねぎ」
「にんじん!」
と次々と具材を答えていたそうです。
そうです、それでいいんです。
でも、うちの息子は違いました。
「はーい、こんにゃくです!」
「厚揚げ」
「高野豆腐」
「キャベツも」
息子の答えにクラス中が爆笑だったそう。
「えーそんなの入ってないよ!」
「すげー」
「変わってる~!」
「なんだそれ~⁈」
とざわついたのです。
息子は帰宅すると「うけた!」と笑いながら私に報告してくれました。
「うちだけだったよ」と。
ちょっと誇らしげにすら見えました。
でも、ひとり親である私は、血の気が失せました。
ああ、私のせいで、息子が笑いものになってしまうのではないか。
今日はお友達にうけたかもしれないけど、先生には、我が家の実情が生々しく伝わってしまっただろうなって。
お友達も、家に帰って親に話したら、きっとわかりますよね。
「あいつんち、変わってるー、ビンボーなんだよ」
「お母さんしかいない母子家庭なんだって」
「だからカレーに変なもん、入れるんだな」
そんな話になったらどうしましょう。
ビンボーと、ズボラ―が、世間中に知られてしまう。
「母子家庭」のリアルが晒されてしまう…。
息子が楽しそうに話すのを聞きながら、私の心情は
よよよよよ・・・。
泣き崩れてしまいたいほどでした。
買い物に行く時間もお金も体力もない
仕事と家事に追われ、買い物にも行けず、冷蔵庫にあるものをかき集めてどうにか作る、そんな日はいくらでもありました。
当時、私はシングルマザーで、実家の近くにアパートを借りて息子と二人暮らしをしていたのです。
実家は4人の高齢者。
認知症になってしまった母と、手術を繰り返し、身障者となっていく父。
生まれつき身障者の父の妹、車椅子から寝たきりとなっていく高齢の祖母。
ついでに言えば、私も子どもの頃から体力がなく病弱でひ弱。
当時も、立ち仕事などには全く適していませんでした。
こんな状況ですから、私は、時間の自由がきく「請け負い仕事」で生計を立てるしかなく、家にいても常に仕事をしている状態でした。
ネット環境なんてありませんし、書類は手書きでまとめたものをワープロ仕上げしてたかな。
元地元テレビ局のニュースキャスター、フリーランスとして活動!
と、言えば聞こえはいいのですが、実態はそんなものでした。
ですから、毎日、緊急事態発生し放題。
救急車にも何度乗ったか…でも、もう、遠い日のことです。
実家の「高齢者4人」は、全員、見送っています。
では、「闇カレー」について解説しま~す。
「何でもカレーに入れる」闇カレー
一人息子が、小学3,4年生の頃だったでしょうか。
当時、我が家の定番メニューだったのが「何でもカレーに入れる」闇カレーです。
本来、闇鍋って、具材に何が入っているか、あてて楽しむ食卓のこと。
いいじゃないですか。
ねえ。
闇鍋は、普通は入れない具材を持ち寄り、暗闇で食して楽しむものですが、我が家は子どもと二人の食卓ですもの。
カレーなら、わざわざ暗闇にしなくても、カレー、一色なので、何が入っているかあてっこして、楽しみながら食事ができます。
楽しい食卓にもってこいです。
でも必要に迫られて、やむなくそうした場合は、結構こころ苦しいんですよ。
ホント、なんでも入れました。
覚えてないくらい。
意外とイケたのが、息子が声高らかに授業で発表した、こんにゃくと厚揚げでした。
母子家庭、父子家庭の方なら、よくご存知のこととと思います。
カレーが、いかに救世主かということは。
ルーは買い置きがきくし、特売になっているし。
具は、・・・・・・・・・ジャガイモ、人参など、根菜は日持ちするところが最高です!
肉?
肉はあればいいけど…、無くてもいいんじゃないですか。
なんでも入れときゃ、味はカレーになるんです。
次は、こんな環境が息子に与えた影響です。
学校から帰ってくると、ランドセルを放り出して、友達と遊ぶために駆け出していく。
これが、あるべき小学生男子の姿でしょう。
「ちょっと待ったー!!」
「この洗濯もの、この片づけもの、この料理、この洗い物」
「あなたがしないことは、お母さんが一人でするしかないのよ!」
「これ、誰がするのよ、助けてよ!」
「たすけてーーー!!」
当時、小学生だった息子は、今でいうヤングケアラーだったのでしょうか。
実家の4人の高齢者にも、手がかかることを知っている息子は、私を助けることが、毎日の責務でした。
息子は、自分が母親を助けるしかないと、よくわかっていました。
4人の高齢者には手助けが必要だということも、よく知っていました。
その結果、息子は学年でトップクラスで、「家庭科」ができる生徒として、もちろん他の多くの女子よりもよい成績で、みんなの知るところとなりました。
当時のことを振り返り、息子から、「そういえば、お母さんの口癖、『発狂しそうだ』だったね」と言われました。
子どもの世界観に、家庭が与えるものは大きい
授業参観などで他の生徒のお母さんに会うと
「ああ、〇〇君のお母さんですね。うちの子が親切にしてもらったそうで、本当にありがとうございます。」
と声をかけられたことが何度もありました。
息子にそれを伝えても覚えてないので、おそらく母親と、母親の実家の高齢者4人の、全員が、「助けを必要としている」という状況は
小学生の息子にとっては、
世界のすべては、自分が助けてあげなくてはいけないもの
だったのだと思います。
甘えさせてやれなかった。
親としては、その思いが今も残っています。
ま、今さら、いいおっさんになった息子に、甘えさせるも何もありませんけど。
今夜は、息子とお嫁ちゃんに、好物のチリビーンズ、差し入れてやりましょうか、ね。
※別のブログで掲載していた記事を再掲載しています
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