アットホームな職場は息苦しさと紙一重

今回も、人材育成コンサル時代の現場見聞録を。

求人情報などで「アットホームな職場です!」なんてフレーズはよく見かけます。

温かくて、みんな仲良くて、まるで家族のよう、という印象でしょうか。

でも、私はちょっと心がざわつきます。

多くの職場で、上司や先輩の立場の人が「うちはアットホームな会社」という場合、部下や後輩にとって息苦しいという実態を、何度も目の当たりにしてきたからです。

 

実は「アットホームな職場」って、居心地の良さと紙一重に、息苦しさが潜んでいることは少なくありませんでした。

アットホームな職場のメリット

「アットホームな職場」って言われると、こんなイメージでしょうか。

みんな仲良く、助け合う環境

仕事で分からないことがあっても、気軽に聞けるし、先輩や同僚がサポートしてくれる。社長や上司も偉ぶってない感じ。

 

和気あいあいとした雰囲気

ランチや休憩時間に雑談したり、おみやげやお菓子をシェアしたり。個人的な都合にも親身になって対応してくれそう。

社長や上司にジョークが得意な人がいることも多いですね。

一体感がある

仕事をみんなで協力して進めたり、ちょっとしたお祝いごとをみんなで祝ったり。

一緒に働いている人たちと「一緒に頑張ろう!」という気持ちが生まれやすいのもアットホームな職場の特徴です。

アットホームな職場で息苦しさ…?

ただし、この温かみが行き過ぎると、息苦しさを感じることがあるのも事実です。

プライベートまで干渉される

アットホームさを履き違えて、仕事以外のプライベートなことにも口出ししてくる人がいることも。

「休みの日までLINEで雑談」「週末にみんなでご飯でも」と誘われるてしまうと、オン・オフの切り替えがしにくくなってしまいますよね。

どんな親しくしている上司や先輩でも、部下や後輩は気を使っていることは、心得ておかないといけませんよね。

仕事と人間関係の境界が曖昧に

親しみやすい関係がかえって業務の支障になることも。

「仕事の指摘がしにくい」「上下関係が曖昧になる」など、ビジネスとして必要な線引きが曖昧になると、気を使いすぎてかえってやりづらくなることがあります。

断りにくい雰囲気

アットホームな雰囲気ゆえ、「この日は残業できないです」とか「この仕事は今厳しいです」といった断りが言い出しにくくなることも。

親しさゆえの「察してくれるだろう」という思い込みは、トラブルのもとになりがちです。

 

 

CHIKAKO
ここまでは、人材育成コンサルとしての現場見聞録でしたが、私自身、なんたって昭和の地方の零細企業に勤務しましたから、すこぶるアットホームを経験しましたよ。
YURI
たとえば?
CHIKAKO
懇親会の席で、一つの盃でお酒を回し飲みさせられたのは、今でもげんなり、です。
YURI
……

【終わりに】アットホームな職場に大切なこと

ちょっと辛口に書いてしまいましたが、実際にはアットホームな職場には良い思い出はたくさんあります。

私自身、働いていた職場で、アットホームな感じて接してくれた上司や先輩こそが忘れられない存在になった、ということも多いです。

むしろ、こちらに踏み込んでくれた上司や先輩のほうが、大切な人だったと言えるほど。

部下や後輩としての立場は、やっぱり遠慮がありますので、上司や先輩から、踏み込んでもらって、初めて深い信頼感が生まれたのも事実です。

これは、アットホームな職場ならではでしょう。

 

大切なのは、善意であるかどうか、そして「心地よい距離感」でとどめることですね。

誰もが居心地よく働けるよう、アットホームさに潜む息苦しさにも目を向けながら、「ちょうど良い」関係を築いていけるといいですね。

 

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